CERFEUIL
セルフィユは明るい若草色の柔らかい葉をしているハーブ。繊細な甘い香りと穏やかな風味があります。料理全般のあしらいとして愉しんだり暮らしに彩りを添えたりと、その用途がとても広いことから当社が開発し発売する商品たちにも「キッチンやダイニング空間に置いてあるだけで癒されるよう」「お客様それぞれの使い方や愉しみかたを見つけていただきたい」との願いをこめて社名及びブランド名としました。
TRADITION
2002年2月 私たちは「創作自然瓶詰食品」を商品テーマに掲げ、心地よい暮らし方のお手伝いをする作品としてオリジナルジャム、フルーツソース、ディップソース、ドレッシング、オイル等を企画開発し販売する瓶詰食品屋としてスタートしました。そのなかでも果実をデザートのように低糖度で仕上げたジャムは大変好評だったのですが、実は作ってくださったジャム工場がとても伝統がおありだったということを後で知りました。日本でジャムづくりが始まったのは明治の頃。その時代に商品として初めてジャムが作られたのは当時の長野県三岡村、私たちの創業の地である現在の長野県小諸市です。「ジャムの日」が4月20日に制定されたのは、小諸で製造されたいちごジャムが明治天皇へ献上された日に由来しているのですが、実はこの献上ジャムを作った当時の工場から暖簾わけされたジャム工場でも私たちのジャムを作っていただいています。セルフィユのお店が初めて生まれた軽井沢の地は、同じころから欧米宣教師たちに避暑地として愛され西洋食文化の影響をうけたことによってジャムづくりが盛んにおこなわれるようになったと伝えられています。私たちはこうした伝統にも支えられています。
PRODUCT
私たちの瓶詰食品たちはとてもシンプルな釜で少ないものは300本、多いものでも1200本程の単位でつくられます。瓶詰づくりに使う原料は製造するその時に1番適した産地のものを選びます。だから色も形も様々・・果実の含有率が高く素材をたっぷりと使用する製法なので、時に素材に語りかけ、ゆっくりと水分を飛ばしながら、煮具合をじっくり確かめてつくる・・ちょっと硬い言い方をすれば「職人仕事」です。選別し入荷する原料の形状や糖度・酸度などがその時々でまちまちですので、良いか悪いか同じ商品であっても一年を通して同じ味の瓶詰を作ることができません。工業製品としての味・風味だけではない「季節と共に、素材の味の変化も愉しめる瓶詰たち」。煮上げ時の糖度は一緒であっても、甘く感じるものは甘さが、すっぱく感じるものはそのまま酸味が残ります。かつての「瓶詰食品は、余った果実の加工品」というイメージから「加工してこその美味しさ」を。よく「フルーツそのままのおいしさのジャム」等と聞くことがありますが、フルーツそのままのおいしさを求めるのであればフルーツをそのまま食べるのが良いと思うので、私たちは素材と素材とを重ねあわせ、生食の美味しさとはまた違う別の美味しさを求めて、今日もこれからも瓶詰食品の商品開発をおこなっております。
GLASSBOTTLE
溶かすことによって一般的なガラス瓶は何度も生まれ変わります。私たちが取り扱っているガラス瓶たちも1000年後の今日も別のガラス容器として使われているかもしれません。古い歴史をたどると、ガラス瓶は約5000年前からあったといわれ、最初はエジプト人、フェニキア人によって香水容器として広められたそうです。パリのエピスリーでは香水と瓶詰食品が同じ空間に並べられているのを見かけもします。日本では平安・鎌倉・室町時代の「源氏物語」や「枕草子」などにガラス杯や壷が登場するそうですが、フランシスコ・ザビエルが来日し山口の領氏にガラス器を贈ったことでキリスト教布教の許しを得たことに始まり、海外との交流の際には多くのガラス製品が輸入され、日本でも製造が盛んとなって今に至っているそうです。使い終わった空き瓶を集めてキャップなどを取り除き細かく砕いたものを「カレット」と呼びますが、1本のガラス瓶の約8割はカレットから作られています。お客様から「空き瓶の回収はしていないの?」とのご質問を受けますが、カレット利用量はほぼ毎年一定で、ガラス瓶生産量は年々減りカレット利用率が増えていることから、分別ルールに基づいて回収されることでガラス瓶のリユース、リサイクルは進められています。私たちのプロパー商品に使用している瓶も2012年からリデュース推進をしており、市場に出回っているガラス瓶よりも薄く軽量化が図られています。「瓶は重たい」というお客様からのお言葉をヒントに、ガラス瓶製造メーカーと交渉した末にできあがった私たちのオリジナルデザイン瓶です(←現在は一般瓶として取扱い可能となっています)。ガラスの厚みを薄くしたことで軽くなった一方、小ぶりでレンズ効果も期待できないので内容量が少なく見えてしまうという販売上の欠点はありますが、空になったガラス瓶を手に持って比べていただけると瓶自体の重さの違いに気づいていただけると思います。
CONCEPT
ガラス瓶に入った果実や野菜たち。とてもキラキラと輝いています。加工された瓶詰食品たちの良いところは、美味しいものを、きれいなまま、長持ちさせられること。すぐに封を開けて食べなくても美味しさは変わらないので、キラキラした瓶詰を部屋に飾りながら「いつあけようか」と思いながら過ごす時間もまた大切なものになります。この時間があるからこそ、あけて食べるときの喜びはより一層贅沢な瞬間へと変わります。その一方でガラス瓶は落とすと簡単に割れてしまいます。だからこそ誰からも大切に扱っていただけるガラス瓶に私たちの大切な思いも一緒にとじこめて、贈る方と贈られる方の幸せな笑顔を想像しながら瓶詰たちを企画し、おつくりします。
「いつもより、すこし贅沢。」「キッチンへ、リゾートの風を。」は日々の暮らしの中でなにげなく置いてある瓶詰たちの味わいに、ゆったりとした時間の流れ「非日常の心地よさ」を感じていただけたら、と考えた セルフィユ軽井沢のブランドコンセプトです。
PHILOSOPHY
私たちの商品たちは決して安くありません。これまでに開発した瓶詰たちは、私たちの名で発売した瓶詰たち以外も含めるとすでに650以上ありますが、商品の販売価格を予め設定し予定販売価格に見合うようかかる原料コストや製造コストを無理に下げるような方法をとってはきませんでした。それは品質を下げると同時に、素材を生産してくださる方たち、資材を調達する方たち、瓶詰を創りあげてくださる方たちの意欲をも下げてしまうから。嘘、改ざん、虚偽表示が蔓延っていた業界に嫌悪感しかなかった20数年前、高齢化が進む生産地や活用されない加工施設の現実を様々な場所で知ることとなり、ノウハウがあるのに、美味しいものをつくりたいのに、厳しい製造原価を押し付けられた仕事を受けざるを得なかった小規模製造者さんたちとの交流の中でセルフィユはうまれ、今でいう6次化モデルを自前でスタートさせました。携わる全ての方々が幸せでいられる様な生産製造販売の仕組みです。それは6次化推進という名のもとに本来の目的とは別の枠組みが整いお金だけが動くような、結果として使い捨てられてゆくパーツとしての商品開発になるような仕組みではなく。
出来上がった瓶詰たちが並ぶ私たちのお店を、生産者さん・製造者さんに見ていただくと「私達がつくった果物がステキな瓶に入って、こんなにきれいに並んでいる!」と感激してくださいます。いつもは脇役の瓶詰たちがちょっと誇らしげな表情に見える瞬間です。
これまでもこれからも、私たちは美味しい素材や食品を作ってくださる方たちや味わっていただけるお客様との出会いを大切にします。
そう、もっとリアルに。もっともっと感動したいと思っています。
PERFORMANCE
私たちが開発してきた業態や商品たちで何かを成し遂げたかと尋ねられたら、胸を張って答えられる成果は残念ながらまだ無いかも知れません。強いて客観的なものとして挙げるとすれば、、デザイン性に優れたガラス瓶商品を創りだしたことによって新たな価値と可能性を生みだしガラス瓶普及の一役を担ったというご褒美でGlassBottleDesignAwardを2年連続受賞させていただいたり、長野県から発する優れたブランドとして入選表彰された信州BrandAward、当時あまり目にすることのなかったディップソースがフォーカスされ普及させようとお声かけ戴いたレシピブックの発刊等がわかり易いでしょうか。これらすべて自らがエントリーしたり企画したものではなく受動的なことでしたが、ありがたいお話をいただく都度、小さいながらも世の中の誰かに必要とされる企業として在り続けたいと思いました。
さて、私たちは理想と考える長期的なビジョンを持ちながらも、その時々において最適と考える事業領域で、その時々の最善を尽くすためにスピーディな決断をしてきました。あらゆる場面で朝令暮改は日常茶飯事。例えば商品開発をするとき、デザインを決めるとき、出店を決めるとき、ビジネスパートナーを選ぶとき、事業の拡大や縮小に直結する施策をおこなうとき等々、いわゆる企業の5段階ライフサイクル視点でみても決して緩やかな曲線ではなく、もはや何サイクル周ったのかと思えるほど激しく動き続けてきました。安定とは無縁、業績も期ごとに乱高下しがちですが、これまでの数多くのトライアルは私たちの独自ノウハウと社内文化の醸成という有形無形の資産として蓄積されています。新型コロナの影響を受けるまでは常に全力疾走で駆けてきましたが、現在はすこしだけゆっくりと、スタッフや顧客の皆さまも含めたステークホルダーの方々が愉しみにしてくださることを新たに自ら創りあげてゆきたいと考えています。 世情や流行を追い求めることなく。
WORK IN PROGRESS
2016年からスタートしたお菓子ブランド「軽井沢のおやつ」。軽井沢アウトレット限定ブランド「Very&Berry」名で販売していた焼菓子やスイーツ類に替わる展開と位置づけて商品も一新、軽井沢の風景を思いながら味わっていただきたいお菓子であったり、軽井沢の風景に溶けこむお菓子たちというなんとなく緩いイメージでスタートさせました。2021年「軽井沢のおやつ」が商標登録されたタイミングで「私たちの瓶詰食品と親和性のあるもの 」という商品化基準を設けました。例えば旧軽井沢の紅葉を眺めながらおいしいお茶を飲み、いただく豆大福は間違いなく「軽井沢で食べるおやつ」なのですが私たちとはあまり親和性がありません。他方、私たちがジャムにしている小諸産いちごを使ったいちご大福であれば「軽井沢のおやつ」になるというわかり易い約束ごとの設定です。瓶詰食品の主原料として使われているものや瓶詰食品と一緒に食したくなるお菓子たち。現在販売しているラインナップでもプリンジャム生みの親である私たちが販売するプリンぶっせ、林檎スイーツジャムのひとつである林檎カルバドスから着想した林檎パイカルバドス風味、お食事系ディップとも相性のよい塩バターガレット等々がありますが、もっと多くのメーカーさんたちと協業することで「軽井沢のおやつ」ブランド構築を推し進めていこうと考えています。
「ブランドとは、お客様との約束ごとが存在」ですから、約束を守りつつ今以上にご期待に添える商品や取組を進めてまいります。
IN THE FUTURE
創業時から基軸としている瓶詰食品たち。あまいもの、からいもの、しょっぱいもの、そして「ぬる、つける、ふりかける」瓶詰たちは様々な顔を持っていますから、共に食空間を愉しむことのできる相性の良いものがたくさん存在しています。パン、ごはん、お菓子、お料理、コーヒー、紅茶、お酒…関連する業態や業界と多くの接点を見つけることができます。私たちはこれまでに「瓶詰とスイーツ」「瓶詰と紅茶」「瓶詰と花」「瓶詰とカフェ」「瓶詰とアイスクリーム」「瓶詰とサンドイッチ」等の業態開発をしてきましたが、これからは「すべて自前で」の考え方は見直して親和性ある業種業態の方々と共に愉しい取り組みができたら と考えています。
それは冷たさを感じる工業的に作られたものではなく、どこか温かみのあるもの。
食空間を創造する食品、小物、店づくりを通じて皆様の心が安らぎ、豊かになるように。
楽しい食による生活シーンを提案し、日常の中に非日常の心地よさを見つけていただけるような商品・サービスを提供すること。
結果として作り手・売り手・買い手それぞれの思い入れと喜びとが見合うよう、これからも私たちはチャレンジをし続けてゆきます。
「たし算ジャム・ひき算ジャム」 そして 「ありそうでなかったもの。あったとすればより自然で美味しいもの」たちと共に。